補助金が出るので、作りませんか——AIで45万円、返ってくるのが30万円

国が、使ったお金の3分の2を返してくれる補助金があります。
小さな会社と個人事業主のための制度で、名前を小規模事業者持続化補助金といいます。今日は、これをAIと組み合わせて使う話です。「AIで何かやってみたいけど、お金がかかりそう」で止まっている人に向けて書きます。
どういうことか、金額で書きます。
- ホームページを45万円で作る → 30万円が返ってくる。自己負担は15万円
- 予約や顧客管理のシステムを45万円で作る → 同じく30万円が返ってくる
- ネット広告を45万円ぶん打つ → これも別の枠で返ってくる
作りませんか、という話です。 買いませんか、でもいい。売上を上げるために何かやりませんか、が制度の趣旨そのものなので、そこに乗るなら国がお金を出します。
そんな夢みたいな制度が、実際にあります。そして今、これがAIと相性がいい。
理由は単純です。AIで作ると、安いからです。
去年までなら、45万円で頼めるホームページは、テンプレートを少し直したものくらいでした。「45万円の枠」に、大したものが入らなかった。
いまは、その45万円に入るものが変わりました。私の手元でも、以前なら見積が何十万円にもなっていた小さなシステムが、AIと数日で立ち上がります。予約の受付、顧客の名簿、日報の集計。「うちだけの、うちのやり方に合った道具」が、既製品を買うより安い側に回りました。
安くなったぶん、同じ45万円で作れるものが増えた。そこに30万円が乗る。AI時代を、楽しめる側で。
ひとつだけ、先に言っておきます。返ってくる金額には、上限があります。 そこを知らずに計画を立てると、あとでがっかりします。
まず、あなたが対象かどうか
制度の名前は、小規模事業者持続化補助金といいます。
(この記事の数字はすべて、第20回公募要領・第8版を2026年9月3日に確認したものです)
対象かどうかは、従業員の数だけで決まります。
| 業種 | 従業員数 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
数えてみると、思っているより多くの会社が、この線の内側にいます。
補助率は3分の2です。 45万円使えば30万円が戻ります(ただし、次に書くコースごとの上限まで)。
補助上限は、選ぶコースで4段に分かれます。
| コース | 補助上限 |
|---|---|
| そのまま(通常枠) | 50万円 |
| インボイス特例 | 100万円(50万+50万) |
| 賃金引上げ特例 | 200万円(50万+150万) |
| 両方 | 250万円 |

基本は50万円。ここに150万円を足せるのが賃金引上げ特例です。条件は、従業員1人あたりの給与支給総額を、年平均3.0%以上増やすこと。比べるのは、2028年3月31日を終わりとする12か月と、その前年の同じ12か月です。
達成できないと、上乗せ分だけでなく補助金の全体が出ません。 資金繰りと相談して選ぶところです。ひとつ良い話もあって、賃金引上げ特例に取り組む事業者のうち直近が赤字なら、補助率が3分の2から4分の3に上がります。
インボイス特例のほうは、免税事業者だった人が適格請求書発行事業者になった場合の50万円です。
交付決定より前に発注すると、全部消える
流れは、6段です。
- 事業計画を書く
- 申請する(受付開始2026年11月5日・締切12月15日17時)
- 採択の発表(2027年3月ごろ)
- 交付決定
- ここから発注して、作って、支払う(2028年3月31日まで)
- 実績を報告する(2028年4月10日まで)→ 入金

4と5のあいだが、この制度でいちばんの落とし穴です。
採択の通知は、スタートの合図ではありません。交付決定より前に発注・契約・購入・支払いをしたものは、全額が対象外になります。採択の連絡が来て嬉しくなって発注した瞬間に、その分が消えます。
そして補助金は後払いです。先に自分のお金で払います。
もうひとつ。公募要領の1ページ目に、こう書いてあります。
本補助金事業は、小規模事業者が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を策定した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。
そして、事業者自らが検討したような記載が見られない場合は、評価に関わらず不採択・交付決定取消、とも書いてあります。
ちなみに、この公募要領を全部検索してみました。「AI」「生成」「人工知能」——1件も出てきません。 禁止もされていません。ただ、「自分で考えていない計画は落とす」という条文は、はっきり存在します。
だから私の立場は、こうです。AIに申請書を書かせるのではありません。AIと一緒に自社を棚卸しして、自分の言葉にする。 頭の中にすでにある「やりたいこと」を、制度が聞いている形に翻訳する。そこがAIの出番です。
何に、いくらまで出るのか
ここからが本題です。
ウェブサイト関連費——ここが上限30万円です。
ホームページ、ECサイト、システム、アプリケーション、業務効率化のソフトウェア、顧客管理ソフト。AIで作るものは、ほぼ全部ここに入ります。 オフラインで動くシステムも対象です。効果と作業内容がはっきりしたSEO対策も入ります。
上限30万円は「補助金として出る額」のほうです。補助率が3分の2なので、経費45万円がちょうど満額ライン。100万円のシステムを作っても、ここから出るのは30万円です。
そして、逃がせません。公募要領は3か所で、ここに集めるよう書いています。機械装置等費に出てくるソフトウェアも、広報費に出てくる自社サイト用の写真・動画も、委託・外注費に出てくるシステム開発も、全部ウェブサイト関連費で計上してください、と。
対象外もはっきりしています。ウェブサイトやシステムに関するコンサルティング・アドバイス費用は出ません。 すでに入れているソフトの更新料も、期間内に運用まで至らなかったページも出ません。契約が事業期間をまたぐソフトウェアの使用権は、期間で按分した分だけです。

広報費——ここも上限30万円です。
チラシ、カタログ、看板、DM、新聞・雑誌の広告、そしてインターネット広告、バナー広告、SNS広告、SNSの運用代行。作ったものを見てもらうための費用です。ここも経費45万円で30万円。
注意が2つ。会社案内のパンフレットや求人広告は対象外です。商品・サービスの宣伝ではないから、という理由。それと、自社サイトやECサイトで使う写真・動画の制作費は、広報費ではなくウェブサイト関連費のほうへ回します。
ウェブ30万+広報30万は、通常枠に入りません
ここで、算数をします。
ウェブ30万円+広報30万円=60万円。ところが通常枠の補助上限は50万円です。入りきりません。
しかも公募要領には、ウェブサイト関連費だけの申請、広報費だけの申請はできない、必ずほかの経費と一緒に申請してください、と書いてあります。
だから、現実の組み方はこうなります。モノの費目をひとつ立てて、そこにウェブと広報を乗せる。
機械装置等費には、費目としての上限がありません(全体の上限の中で、という意味では当然ありますが)。私が見てきた採択済みの計画にも、店舗型のサービス業で「機械装置等費で機器を1台 + 広報費でチラシと地域広告 + ウェブサイト関連費で新サービスの特設ページ」という3本立ての形が並んでいます。
ただし機械装置等費には除外がたくさんあります。パソコン、タブレット、プリンター、スキャナー、ルーター、モニターは対象外です。 単なる取替え更新も対象外。単価50万円(税抜)以上のものは「処分制限財産」になり、あとから勝手に処分できません。

残りの費目も一言ずつ。展示会等出展費は出展料と、関連する運搬・通訳・翻訳。旅費は展示会や商談会への往復(日当・ガソリン代・駐車場代・タクシー代は出ません)。新商品開発費は試作の原材料とパッケージのデザイン。借料は機器のリース・レンタルと、PRイベントの会場(事務所の家賃は原則出ません)。委託・外注費は店舗の改装工事など——ただし「自ら実行することが困難な業務」に限られます。
実際にこの枠でシステムを1本組むと、いくらで何ができるのか。設計から金額までを1件ぶん通した記録が「エステのカルテアプリを、補助金で作る」にあります。
通して見ると、この制度の性格が見えてきます。AIを買うための補助金ではありません。 AIで作ったものを、お客さんに届けるところまで含めて計画にする補助金です。
そしてもうひとつ。第20回から、審査の観点に「補助事業計画には、デジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか」が入りました。AIを使いたい人は、審査で評価される側に立っています。
最後に、ひとつ
この申請書を一緒に作るAIを、いま作っています。
AIが書くのではありません。あなたの会社のことを順番に聞いて、散らかった答えを制度が聞いている形に並べ直して、「ここがまだ埋まっていません」と指さす。そういう相棒です。棚卸しの相手だと思ってください。書くのは、あなたの言葉です。

まだ作っている途中です。完成したらお送りするかもしれません。よかったら、いいねとリツイートをお願いします。
次回は、お客さんに使ってもらう版を書きます。AIでシステムやサイトを納品している人が、この補助金をどう提案に使うかの話です(9月7日公開)。
※制度の数字は、公募の回次で変わります。この記事の数字はすべて、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募要領(第8版・2026年7月21日)を、2026年9月3日に確認したものです。申請の前に、必ず最新の公募要領をご自身で確かめてください。
書き手はAIKA。このサイトについて


