AIとの付き合い方

AIの「できました」を、Playwrightに見に行かせる

A AIKA 読了 約12分
AIの「できました」を、Playwrightに見に行かせる

先週、私の記事の下書きが壊れていました。
文字を太くする印が1文字ぶんずれて、下見の絵が中身を受け取らなくなっていた。

画面は、いつもどおりに見えていました。
私は何度も開いて、何度も、異常なしと判断しました。

見つけたのは私ではありません。
画面を見に行かせたAIです。直したら、0.05秒で通りました。

AIに「できました」と言われて、画面をざっと見て、OKを出す。
あの確認、AIに渡せます。
渡すと、あなたの3分が返ってくるうえに、画面を開いても見えない壊れ方まで出てきます。

私はこれをPlaywrightという道具でやっています。
この半年で25,000回動かして、ページを3,154回開きました。
どこを開いていたかを全部数えたら、自分でも意外な結果が出ました。
その話も書きます。

見た目は通る。中身は通っていない

「できました」を、あなたは何で確かめていますか

確かめているのは、結局あなたの目

AIに何かを任せた後のことを、思い出してみてください。

ページを作らせた。表に書き写させた。設定を直させた。投稿を出させた。
どれも最後は「できました」と返ってきます。

そのあと、あなたは何をしていますか。

たぶん、自分で画面を開いています。
開いて、上から下まで眺めて、それらしく見えるから閉じる。

ここで、二つのことが起きています。

ひとつは、あなたの時間が戻ってきていないこと。
任せたはずなのに、確かめる分だけ自分の手が要ります。
1回3分でも、日に何度もやれば、そこそこの時間です。

もうひとつのほうが、重い。開いて見ても、分からないものがあることです。

冒頭に書いた件を、もう少し詳しく書きます。
私が使っている記事の下書き画面は、保存したあと、
その中身で「公開したらこう見えます」という絵を作ります。

ある日、保存のされ方のせいで、文字を太くする印が一文字ぶんずれました。
ずれると、印は印として働きません。
絵を作るところは中身を受け取らず、突き返していました。

ところが、画面はいつもどおりでした。
突き返された時、その画面は直前の正常な姿をそのまま映し続ける作りだったからです。
作った人からすれば親切な作りです。いきなり真っ白になるよりはましですから。

私は何度も開いて、何度も、異常なしと判断しました。
目が粗いからではありません。
正しい姿が映っているのだから、目では分かりようがない。

こういう壊れ方は、珍しくありません。
見た目は出ているのに中身の参照先が空の画像。
件数が合っているのに1件だけ入れ替わっている表。
公開したつもりで、まだ出ていない記事。
どれも、開いて眺める限りは正常です。

画面は正常なのに、中身が壊れている——三つの型

見ても分からない壊れ方は、三つ

見ても分からない壊れ方には、型があります。
私が実際に踏んだのは三つです。

一つめ。正しい姿が残ってしまう型。
いま書いた下書きの件がこれです。
壊れた時に、壊れる前の姿が画面に残る。
何も言わずに、いつもの顔をしています。

二つめ。数は合っているのに、中身が違う型。
図を11枚入れたページがありました。数えると、確かに11枚あります。
ところが1枚は、絵のある場所を指していませんでした。
見出しの下に何かが置かれているので、ざっと見る限りは並んで見えます。

三つめ。出したつもりで、出ていない型。
公開のボタンを押した。押した手応えもある。
それでも、その記事がいま本当にサイトの上に在るかは、別の話です。
押したことと、出ていることは、違うことです。
私の記録では、出した側だけ先に出て、本体が出ていなかったことが2回あります。

三つに共通しているのは、壊れた側が黙っていることです。
エラーが赤く出てくれるなら、人の目で足ります。
困るのは、何も言わずに、いつもの顔をしている時です。

この記事を書いている最中にも、一度起きました

これは、書きながら本当に起きたことです。

この記事の原稿を書いている途中で、私は一文をこう書きました。

確かめる役を替えたのに、замене замене——同じことをもう一度やらせただけになります。

読めない文字が二語、まぎれています。ロシア語です。
私はロシア語を書いていません。書いた覚えもありません。
AIに文章を書かせている最中に、どこからか混ざりました。

こわいのは、ここからです。

この一文は、私がかけた機械の検査を、全部通りました。
行の長さの検査も通った。強調の印の検査も通った。
下見の絵も、正常を意味する番号を返してきた。
既刊の記事との重複検査も、ゼロで通りました。

数は合っていました。形も合っていました。
中身だけが違いました。

見つけたのは、書き上がったものを自分で読み返した時です。
機械には見つけられませんでした。
これは、この記事の後ろの方で書く「機械に任せられる範囲」の、そのまま実例です。

そして同時に、AIに任せたものを、そのままにしておくとどうなるかの実例でもあります。
私が読み返さなければ、ロシア語の混じった記事が公開されていました。

確かめる役を、Playwrightに渡す

道具の名前はPlaywrightです。
「AIが使えないソフトは、画面ごとAIに使わせろ」で紹介した、あの道具です。
あちらでは「人間用の画面しか無い相手に、こちらから乗り込む」道具として書きました。

同じ道具が、検品に向いています。理由が三つあります。

一つめ。まっさらなブラウザを、新しく立ち上げます。
あなたが普段使っているブラウザとは別の窓です。
ログインもしていないし、前に見た残りもありません。

これは検品では利点になります。
自分のログイン済みの画面で確かめると、自分にしか見えない姿を見てしまうからです。
自分には出ているボタンが、初めて来た人には出ていない。よくあります。
まっさらな窓は、初めて来た人の目をそのまま持ってきてくれます。

二つめ。同じ手順を、何度でも同じように走らせられます。
検品は繰り返す仕事です。
記事を直すたび、画像を差し替えるたび、同じところを同じ順で見たい。
人の気分に左右されない相手の方が向いています。

三つめ。画面を絵としてではなく、中身の一覧として読みます。
人は画面を絵として見ます。だから「並んでいるように見える」で止まります。
Playwrightは、ページを組み立てている部品——見出し、画像、リンク、入力欄——を、
文字の一覧として読みます。
だから数えられる。11枚あるのか、そのうち行き先が空はいくつか、が言えます。

もうひとつ、いま自分が開いているChromeをそのまま触らせるやり方もあります。
そちらは「面倒なウェブ操作はAIに任せよう」に書きました。
自分としてログインした画面を確かめたい時は、そちらが早い。

入れ方はどちらも既に書いたので、ここでは繰り返しません。
検品に関しては、すでに入っている方を使えば足ります。
この記事のために新しく何かを入れる必要はありません。

「開いて、見てきて」と言う

覚える言葉は、三つ

やることは、そう難しくありません。
確かめる役を、人からAIに替えるだけです。

言葉は三つ覚えれば足ります。
そのまま使える形で書きます。

一つめ。何が見えているかを言わせる。

この画面を開いて、上から順に、見えているものをそのまま書いてください

「大丈夫か」ではなく「何が見えたか」を聞くのが要点です。
理由は、次の章で書きます。

二つめ。数えさせる。

このページの画像を数えてください。何枚あって、そのうち行き先が空のものは何個ですか

数は、人が数えると間違えます。機械は間違えません。
図が11枚あって1枚が絵を指していなかった件は、これで出ました。

三つめ。突き合わせさせる。

手元のこの一覧と、画面に出ている並びを突き合わせて、違うところだけ挙げてください

二つ並べて、違いだけを出させる言い方です。
全部読んで報告させると長くなりますが、違いだけなら短く返ってきます。

この三つは、第1話の付録に書いた頼み方とは別のものです。
あちらは「入り込むための言い方」、こちらは「確かめるための言い方」です。

実際のやりとりを、そのまま置きます

言葉だけだと分かりにくいので、一往復をそのまま書きます。
記事に図を11枚入れて、AIが「入れました」と言った直後のやりとりです。

私が言ったのは、これだけです。

このページを開いて、画像を数えてください。
何枚あって、そのうち行き先が空のものは何個ですか。

返ってきたのは、こういう形です。

画像は12枚ありました。うち1枚は表紙で、本文中は11枚です。
行き先が空のものは0個でした。
ただし1枚、指している先にファイルがありません。

三行目が、私が聞いていないことです。
「空かどうか」は聞きましたが、「その先にファイルがあるか」は聞いていません。
聞いていないところで引っかかった。これが検品の当たりです。

ここで大事なのは、返事が数で返ってきていることです。
12枚、11枚、0個、1枚。
もし「画像はきちんと入っているようです」と返ってきていたら、
私はそこで終わって、ファイルの無い1枚をそのまま公開していました。

やってはいけない頼み方も、ついでに書いておきます。

画面を開かせずに聞かない。
「この記事の画像は大丈夫だと思う?」と聞くと、開かずに答えます。
それはAIの推測で、確かめたことにはなりません。
「開いて」の二文字を必ず入れてください。

絵だけ見せて済ませない。
画面の写真を撮らせて「どう?」と聞くと、人と同じ見方になります。
人と同じ見方をさせるなら、人が見るのと変わりません。
中身まで読ませるから、人に見えないものが出てきます。

見に行かせて、出てきたもの

はみ出しは、並べないと分からない

実際に出てきたものを並べます。全部、私の手元の話です。

表紙の文字が、枠から出ていました。
幅が1,116ピクセル、使える幅は889ピクセル。227ピクセルはみ出していました。
並べて見せられれば一目です。
ところが一枚だけ見ている限り、そういうものだと思ってしまいます。
機械は測ったので、出す前に止まりました。

図が、絵を指していませんでした。
さっきの11枚の件です。
開かせて、画像の数と、行き先が空のものの数を言わせただけです。

出した後に、本当に在るかを見に行かせています。
これは壊れていた話ではありません。うまく回っている日常の姿です。
出したら見に行く。在れば一行の報告、無ければ呼ばれる。
その間、私は何もしていません。

そして、人の目では原理的に見えない差もあります。
ある画面で、同じ場所にマウスを乗せると、わずかに跳ねることがありました。
1回では分かりません。
30回以上、間を空けて乗せて、跳ねた回数を数えて、初めて出ました。
人が30回やれば、手が覚えてしまって、たぶん正しく数えられません。
ここは、人がやらない方がいい仕事です。

「大丈夫そうです」は、報告ではありません

感想と報告は違う

一つ、受け取り方のコツがあります。

見に行かせると、たまにこう返ってきます。

確認しました。問題ないようです。

これは報告ではありません。感想です。
そして、あなたが自分で画面を眺めて「それらしいから閉じる」のと、中身が同じです。
確かめる役を替えたつもりで、同じことをもう一度やらせただけになります。

返してもらうのは、見えたものそのものです。

画像は何枚あって、そのうち行き先が空のものは何個か。
見出しはいくつで、どういう並びか。
表は何行で、一番上の行と一番下の行には何が書いてあるか。

数と、実際に書いてあった文字。この二つが返ってきたら、報告です。
「問題ない」しか返ってこない時は、こう言い足してください。

あなたの感想ではなく、画面に出ていたものをそのまま書いてください

作った本人に、検収させない

作った本人ではなく、別の相手に頼む

もうひとつ、効き目が変わる置き方があります。
見に行かせる相手を、作った相手と別にすることです。

同じ会話の中で「確認して」と言うと、作った時の前提を持ったまま見に行きます。
自分はこう作った、だからこう見えているはずだ、という目です。
人でも同じで、自分が書いた文の誤字は読めません。

だから、別の会話を開きます。
何も教えずに、その画面だけを渡して、こう言います。

この画面を初めて見る人として、何が見えているか言ってください

作り手の説明が一つも入っていない報告が返ってきます。
そこに書かれていないものが、読者にも見えていないものです。

さっきのロシア語の件も、同じ形で起きました。
書いた本人が、書いた直後に読み返しても、自分の書いたつもりの文が見えます。
別の目に渡すまで、そこに何が混ざっているかは分かりません。

Playwrightが開いた先の、半分は自分の画面だった

外のサイト1,289回と、自分の画面1,206回

これは、数えてみて初めて分かったことです。

Playwrightは、もともと「外のサイトに入るため」に入れました。
人間用の画面しか無い相手に、こちらから入っていくための道具です。
第1話に書いたのも、全部そちら側の話でした。申告のソフト、切符の予約、記事の転載。

ところが、この半年に開いた先を全部数えたら、こうなりました。

3,154回のうち、仕事の相手方の画面が659回。ここは書けないので外します。
残りの2,495回の内訳が、こうです。

外のサイトが1,289回。
自分のパソコンの中が1,206回。

ほぼ半々です。
外に入るために入れた道具の半分を、自分が作らせたものを見に行くために使っていました。

そう決めたわけではありません。後から数えて分かりました。

理由は、たぶん単純です。
AIに作らせる量が増えたからです。
画面を作らせる、表を作らせる、記事を出させる。作った量だけ、確かめる先が増える。
そして自分で作らせたものほど、自分では正しく見えてしまいます。

AIに何かを作らせている人は、たぶん同じことになります。
乗り込む道具として入れたものが、気がつくと自分の確かめる道具になっている。

数えられるものしか、数えられません

機械が見るもの、人が見るもの

線を引いておきます。
機械に任せられるのは、数と一致だけです。

「見出しが12個あります」は言えます。
「この見出しは弱いです」は言えません。

「表は10行あります」は言えます。
「この数字は、あなたの商売の実感と合っていません」は言えません。

「読めない文字が2語まざっています」も、実は言えません。
文字としては成立しているからです。
さっきのロシア語が全部の検査を通ったのは、まさにこれです。

だから、検品をAIに渡しても、人の目は消えません。
消えるのではなく、置き場所が変わります。

機械が見るのは、数と、こちらとあちらが同じかどうか。
人が見るのは、意味と、これでいいのかどうか。

人が一番弱いところ——数を数える、見比べる、同じ作業を30回繰り返す——を機械に渡して、
人が一番強いところ——これは伝わるか、これでいいのか——に人を戻す。
そういう並べ替えです。

確かめる係が塞がっていると、確かめていません

同じ行が三度続いた日

もう一つ、実際に起きたことを書きます。

Playwrightの持ち場は、取り合いになります。
別の作業がその窓を使っていると、入れません。

2026年7月29日、私の記録に、同じ行が三度続けて出てきます。

監督の目視はPlaywright占有のため今回も省略

検品をサボったのではありません。
見に行かせる相手が塞がっていたので、見ないまま先に進んだのです。

大事なのは、そのあとです。
省略したことは、記録に残っていました。
残っていたから、こうして後から数えられました。

それ以来、持ち場を用途で分けています。
いまは二つあって、それぞれ2,110回と1,213回、別々に働いています。

ここから言えることは一つです。
確かめる係が塞がっている時、あなたは確かめていません。

そして、塞がっている時ほど「たぶん大丈夫だろう」で進みたくなります。
そこで進むのは構いません。私も進みました。
ただし、確かめなかったと書き残す。
そこだけは人がやることです。

明日、閉じる前に一言だけ

閉じる前に足す、ひとこと

準備は要りません。今日そのまま始められます。

次にAIが「できました」と言った時、閉じる前に一言だけ足してください。

この画面を開いて、見えているものをそのまま書いてください

何が見えたかが返ってきます。
そこで、あなたが自分で開いて確かめていた3分が、返ってきます。

そして、たまに、あなたが何度見ても分からなかったものが出てきます。
その時に初めて、この頼み方の値打ちが分かります。

私の場合は、原稿が保存を拒まれ続けていた、あの件でした。
画面はずっと、いつもどおりの顔をしていました。

もうひとつは、この記事の中に混ざっていたロシア語でした。
あれは機械が全部通し、私が読み返して見つけました。
どちらも、見ているだけでは出てこないものです。

書き手はAIKA。このサイトについて