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category: 会計・財務診断
date: 2026-07-28
description: 計画書の5つの箱のうち、決算書から線が引けるのは3つだけ。残る2つ——めざす姿とやること——は、AIをどれだけ賢く使っても埋まりません。配管の真ん中にある手で回す弁の話と、点検口を開けて出てきた「減価償却0円」の話です。
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series: 銀行に出す1枚の計画書
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title: 銀行に出す1枚の計画書 後編 ── AIに埋められない箱は、2つだけ
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![全体の配管図。決算書から計画書の5つの箱へ数字が流れる。②いまの姿と⑤お金の見通しへは線が引ける。③めざす姿と④やることへは線が引けず、真ん中に手で回す弁が一つある](画像/keikakusho-ginko-02/zu1-haikan.png)

前編で、銀行に出す1枚ものの計画書を**5つの箱**に分解して、データになった決算書から叩き台を作りました（[前編](https://aika-keiei.com/articles/keikakusho-ginko-01/)）。①だれの計画か。②いまの姿。③めざす姿。④やること。⑤お金の見通し。この5つです。

後編は、数字がどう流れたかの話です。先に種明かしをすると、**5つのうち3つは、決算書と少しの計算でほぼ埋まりました。残りの2つは、AIをどれだけ賢く使っても埋まりません。**どの2つが埋まらないのか。そして、配管を繋ぐだけでは見つからないものが1つ、点検口から出てきました。

## 線が引けるところ

![決算書の損益計算書と貸借対照表から、②いまの姿と⑤お金の見通しの直近列へ、まっすぐ線が引ける。やることは割り算だけで、人の判断は入らない](画像/keikakusho-ginko-02/zu2-hikeru.png)

**決算書の数字は、②「いまの姿」と、⑤の「直近実績」の列へ、そのまま流れます。**割り算をするだけです。人の判断は入りません。

売上がいくら減ったか。利益率は何%か。この会社は直近の1年で、売上が**2割近く**落ちていました。その数字は、決算書から機械的に出ます。決算書の表紙は、①「だれの計画か」へ。これも転記だけです。借入金内訳書は、⑤の返済額へ。ここだけは前編に書いたとおり、**下書きに使って、提出の前に返済予定表で検算**します。

## 線が引けないところ

![③めざす姿と④やることには、決算書からの線が届かない。矢印は経営者の頭から出ている。決算書は過去の紙で、これからやることは書かれていない](画像/keikakusho-ginko-02/zu3-hikenai.png)

**③「めざす姿」と④「やること」には、決算書から線が引けません。**ここが、この記事でいちばん言いたいことです。

決算書は、**過去の結果が印字された紙**です。これから何をするかは、どこにも書いてありません。書いてあるはずがない。だから③と④は、経営者の頭の中から出すしかない。この会社なら、コーヒー豆の卸を始めること。落ちた売上をどう戻すか。全部社長の頭の中にありました。

[この計画書を作った会議の側の話: ただの議事録を、AIの原典として扱うと……](https://aika-keiei.com/articles/gijiroku-keikakusho/)

②「いまの姿」も、半分は人の仕事です。売上が2割近く落ちたという**事実**は決算書から出ますが、**何を主な原因と認めるか**は経営者が決めることです。書式には、経営者本人の意思で書かれたかどうかを、銀行が確認する欄まであります。

## 弁の先は、また自動で流れる

![真ん中の弁を経営者の手が回している。前提を置いた瞬間、その先は自動で各年の数字が展開され、指標の計画列まで逆算で埋まる](画像/keikakusho-ginko-02/zu4-ben.png)

では、③と④を経営者が埋めたら、そこから先はどうなるか。**また機械の仕事に戻ります。**

「3年目に黒字化する」「1年目はここまで戻す」。そういう前提を人が置いた瞬間、各年の売上・利益・返済額が展開されて、⑤「お金の見通し」が埋まります。その数字から逆算して、指標の「計画」の列も埋まります。

つまり配管は、こういう形をしています。**上流は自動。真ん中に、手で回す弁が一つ。その先はまた自動。**計画書づくりで人が本当に考える場所は、この弁のところだけです。

## 点検口

![配管の途中にある点検口を開けると、減価償却0円という札が3期分出てくる。配管を繋ぐだけでは見つからないものが、ここから見つかる](画像/keikakusho-ginko-02/zu5-tenkenko.png)

決算書と一緒に綴じてある書類の中には、どの箱にも直接は流れないものがあります。注記の類。会社の概況を書いた書類。部門別の比較表。これらは配管ではなく、**点検口**です。

この案件では、そこから1つ出てきました。**この会社は3期にわたって、減価償却費を1円も計上していませんでした。**減価償却というのは、買った設備の値段を、使う年数で割って少しずつ費用にしていく処理です。それをやっていなかった。

これが、指標を1つ壊していました。計画書には「借金を、本業で稼いだお金の何年分で返せるか」を見る指標があります。分母は、営業利益と減価償却費の合計です。この会社は営業が赤字で、償却は0。**分母がマイナスになり、この指標は計算できませんでした。**本業から返済に回せるお金が出ていない、という動かない証拠です。計画は、そこを動かす話になります。

銀行の側も、償却していない決算をそのままでは見ません。**償却すべきだった分がいくらだったかは、参考として常に見ています。**そのうえで、もともと利益の薄い会社なら「差し引けば実質は赤字だったな」と、一応そこまでは見るわけです。

点検口を開けずに配管だけ繋ぐと、こういうものを見落とします。

## AIは、材料の整理係です

**AIが計画書を書いてくれるわけではありません。**AIが受け持ったのは、弁の上流と下流です。決算書から数字を出す。前提を置いた後の数列を展開する。指標を逆算する。速いし、間違えません。

でも、弁は回せません。**計画の終わりにどうなっていたいか。そのために何をするか。**それを決めた本人が、銀行との面談で自分の言葉で説明できなければ、計画書は崩れます。**計画の主語は、経営者です。**AIは材料を整理する係です。

## 配管を整えるという考え方

決算書がデータになっていて、次に書く書式が決まっている。この2つが揃っていれば、**計画書は「作る物」ではなく「流れてくる物」になります。**

流れてこない場所も、はっきりします。**過去と現在は流れてくる。未来の2つの箱だけは、人が弁を開けないと流れない。**決算書と計画書に限らず、書式が決まっていて、手元のデータが機械で読める形になっていれば、同じ配管が引けます。引けない場所は、たいてい「人が決めること」です。そこだけに時間を使えばいい。

[紙の決算書](https://aika-keiei.com/articles/kessansho-ai-01/)を眺めていた頃は、この配管が引けませんでした。読んで、終わりでした。

このブログでは、こういう考え方を書いていくつもりです。

## AIKA｜AI経営パラノイド

このブログは、**中小企業の経営の現場を、AIで異常なほどの品質とスピードでやる**、その実験の記録です。

きれいな成功談は書きません。書いているのは、実際に手を動かした案件で何が起きたかです。紙の決算書を1円単位で疑った話。AIが自信満々に間違えた回数を数えた話。今回のように、AIの過剰な段取りを一言で崩した話。**うまくいったことも、失敗も、数字と実物のまま置いていきます。**

決算書、資金繰り、事業計画、議事録、原価。経理まわりの紙とデータを、どこまでAIに任せられて、どこからは人がやるしかないのか。その線を、案件ごとに引き直しています。

同じ書類づくりで消耗している方に、いちばん役に立つと思います。

**→ [AIKA｜AI経営パラノイド](https://aika-keiei.com/)**

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この記事で使った工程を、手順と道具の形で配布できるようにする予定です。準備中です。

※登場する事業者は、守秘のため業種を変えています。数字は丸めていますが、やりとりと工程は実物です。
